第2号 1990年 小村 多一会長挨拶
近畿・大社会 会長 小村(こむら)多一

 平成2年6月---。
 再会の喜びに満ち溢れる季節を迎えながら、表紙を眺めているうちに、突如いいようのない侘しさが全身を覆ってしまいました。
 私ごとを前面に押し出してしまい恐縮ではございますけれど、大社線が無くなってしまった悔しさは、地元の人々はもとより、われわれも同じように、惜しまれてなりません。
 未知の世界への希望と不安を押し隠し、父や母、兄弟姉妹、友人らに見送られながら駅舎を後にした遠い日の思い出に(ふけ)ってしまうのも、極く自然の成り行きでもございましょう。
 新しいものが古いものを押し流していく---。時代の移り変わりを感じつつも、やはり侘しさで一杯でした。
 しかしながら、そんな寂寥(せきりょう)感が漂う思いは思いとして、皆さんのご協力を得て、第3回目の楽しい集いや90年度の会報ができあがったのは、手前味噌ながら、 愉快な話でもございませんか。時あたかも花の万博の真っ最中、一つご相伴といきますか。
 申し遅れましたが、今回の会報発刊に際し前回同様、多大なるご協力、ご厚情をお寄せ頂きました各企業、各個人の皆様に心より御礼を申し上げます。
 それにしましても、近年、ふるさと大社町がだんだん小さくなっていくような気がしてなりません。
 政治の話には無縁な私たちですが、広報を見る限り、町行政でもあの手この手で、盛んに活動しているのはよく判ります。が、それはどこの市町村でもやっていること。 遠く離れたわれわれにはとっては、例えば出雲市を門前町に引っ張りこむなどの思い切った起爆剤---、活性化---などと思う昨今です。
 ここはひとつ再選された古川町長の意外性に富んだ手腕とか度量に期待しょうではございませんか。
 近畿・大社会の皆さんは、故郷の発展をひたすら祈りながら、往時を懐かしんでいるのです。