第20号 2008年 小村(こむら) 多一会長挨拶
小村会長写真
出雲阿国座(仮称)の建設問題に思う
〜西尾市長の決断に期待〜

 今年の会報の表紙には「出雲阿国座」の朱色鮮やかなイラストで飾ることにした。言うまでもなく西尾市長が提唱している新しいシンボルと目されているからである。 1千万交流人口の目玉として出雲市が大々的に取り組んでおり、その先頭に立っているのが西尾市長である。聞くところによれば日夜寝食を忘れるほどの行動力で、実現に向けて精力的に励んでいる姿に感動、いち早く賛同した一人でもあるからだ。 話は三年前の第18回総会にさかのぼる。さっそうと乗り込んできた西尾市長は、初対面の会員を前にして「大社町の活性化なくして出雲市の発展はあり得ない」と言い切り、寂れるばかりの神門通りの復活に着手すると大見得を切った。 さらに「出雲阿国座」の創設に全力を傾けるとも明言した。平成の大合併から4年目を迎えたこんにち、どの町が一番恩恵を受けているかと言えば、やはり、生まれ故郷の大社町ではないか。拝聴した会員一同は思わず快哉の拍手を贈ったものである。 つまり旧態依然の故郷に救世主が現れたからである。なんと役所のなかに「大社門前町整備課」まで新設してやる気満々、まるでやることなすことすべてが大社町のために心血を注いでいるようにも思える。有り難い話ではないか。
 ところが世の中というものはなかなか難しいもので、みんながみんな、もろ手を挙げて賛成している訳ではないようだ。なかには地元の大社町のなかからも反対意見が出て署名運動まで展開しているグループまで現れたというからオドロキだ。 広報誌によればそのために全紙に渉り説得の場を設けたというから、そのためのエネルギーの消耗たるや計りしれないものがあろう。残念な話である。
 そんな騒ぎをよそに、60年ごとに行われる出雲大社の遷宮行事は、極めて順調に事が運んでいるようで、連日参詣客で賑わっており、連なるように古代出雲歴史博物館の入場者も増え続けているという。 世界遺産に登録された石見銀山も活況を帯びていて、いまや観光島根の評判はウナギ上りとか。さらにこの9月からは出雲大社や松江を舞台としたNHKの評判双子が主演する「だんだん」の放送も予定されており、故郷の前途はとても明るいものがる。 問題はこの時期を逃しては実現不可能とまで言われている「阿国座」の建設である。もの言わぬ賛成派がいかにしてうねりを巻き起こしてくれるかに掛かっているのだが、どちらかと言えば引っ込み思案のことなかれ主義。 それでいて批判だけは根強い土地柄だけに、その行方は万全とは言えないようだ。建設資金問題もその理由の一つであるのは百も承知だが、合併による特例債という調達も可能な現在、 ここは百年の大計を立てている ”いけどんどん”の西尾市長の手腕に期待するしかない。われわれはそれに期待、初志貫徹。時期はズレようが、 ”頑張って実現へ!” と、声を大にして叫びたい心境である。