第20号 清水 恭子 (顧問 馬場)
島行き

 なつかしい大社の思い出と言いますと、夏になると決まって「島行き」をした楽しい場面が浮かんできます。レジャーとしての行事が無かった頃だけに、近所や親戚の人々が集まり、今風に言えば漁船をチャーター、鍋釜や食材を用意して毎年のように出かけたものです。 子供達も大はしゃぎで付いてきたものです。あの美しい日御碕までの海岸線に沿って小さな入り江が沢山あって、そこで一日中、貝を採ったり、めのはの切れ端を拾ったり、そして泳ぎ回ったりとても楽しい一日を過ごしたものです。 お昼は炊き込みの塩気ごはん。焼き魚やサザエの壺焼きも添えられて、とても贅沢な食事だったように思います。流木や貝殻が流れついた、あの入り江もニナやサザエでいっぱいだった岩場も今では遠いまぼろしであったように思います。 ふるさとには現実にあった思い出に加えて、もう逝ってしまった大切な人達との消えることのない関わりあいが、老齢になればなるほど増殖、やさしく包み込んでくれます。大社会は、この大阪の地に突如としてふるさとを再現してくださいました。 顧問という晴れがましい役職まで戴いて、会長様をはじめお世話くださる方々、ご来演くださいます皆様方に心から感謝申し上げ、御礼のことばとします。

リターン