第35号 佐々岡 富子 |
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白と黒の世界の奥深さ ”南画にひかれて” ![]() 南画(水墨画)です。工場のような建物は柱や壁が曲がると不安定になります。絵もそれと同じで、線がゆがまないように描くのに苦心しました。南画を始めて30年になります。今年の第六十五回日本南画院展で「日本南画院賞(橋村賞)」をいただきましたが、これまで納得のいく作品ができたことはありません。難しいです。 子供の頃、姉がスケッチに出掛ける折について行った記憶があります。それが絵を描くことが好きになったきっかけでしょうか。中学生の頃、小豆沢禮先生に出会い、油絵のご指導をいただき、本格的に描くようになりました。ところが、なぜか深く進むことなく、社会人になると、絵画から書道へと趣味は変わりました。 書を20年ほど続けたころ、また絵心が動きました。そして選んだのが、書と共通する墨(筆)と和紙で表現する南画でした。五十過ぎのことでした。 ![]() 東洋美術の精粋と言われる南画は、墨で色彩をも表現するという、色を超越した白黒の世界であり、墨と和紙と水との融合で成り立ちます。筆を駆使し墨の濃淡、にじみ、ぼかし、かすれで描きますが、 技法のみを追求するだけでは完成しません。集中力、心が備わらなければちゃんとした線一つ描けないのです。風景や建物を主な題材として「工場U」のような大作は年に 1作、20号くらいの作品は年に3,4作のぺースで制作しています。このほか、日常的に色紙に描いています。 義父母、夫、愛犬と介護し、送りました今、時間に余裕が出来ましたので、5年のブランクがありましたが、弓道を復活しました。精神修養になれば幸いですが……。南画も、弓道もお道は厳しいです。 |