川上 雅弘 (副会長 市場出身)
南海の白兎伝説

 昨年は、仕事の関係でボルネオ島西部のクチンを訪れた時のこと。朝、散歩をしていた川沿いの遊歩道のコンクリート壁面に囲まれた七面の絵が、なんと白兎伝説にそっくり。
 ただ舞台は熱帯雨林の河。主役は白兎ではなく小鹿、ワニザメではなく鰐。小鹿は皮を剥がれず対岸に渡り、鰐を嘲笑うところで話は終わっている。 役者は違うが物語は、まったく同じで、以前よく似た説話が東南アジアの各地で遺されているのを耳にしたが、現実に目の前にした光景にただびっくり・・・。朝霧の中にしばし立ち尽くしたものです。
 この説話が、出雲神話に組み入れられたとするならば、遠い昔、日本列島へ渡ってきた人々の語りが、日本のある部族の説話になり、やがては大国主命を登場させる、日本の神話の源流になったような気もします。そんな意味では、大変貴重なる旅ともなりました。
 これに関連して、なにかご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。

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