第14号 正司(しょうじ) 光男(みつお) 顧問 原町
正司光男写真
故郷マラソン大会に出場して

 3月10日。「第7回大社はまゆうマラソン大会」に選手を代表して選手宣誓、10キロに挑戦した。大社公民会館前をスタート。右前方に三瓶山を眺め、 ぶどう畑や村落の桃畑の中を走り続けながら、ふと、旧制大社中学時代の5キロ競争や上阪時のことなどを思い起こしていた。
 昭和25年2月。大社から夜行便で大阪駅へ。夢とか希望があったわけではない。仕事と寮があるというだけの理由だったから無茶な話である。 大阪駅に降り立って驚いた。今のような高層建築のなければ、立派な家屋もない。あるのはバラック建てばかり。ホームからは偉容を誇る大阪城が丸見えだったし、構内では旧軍人の募金風景がヤケに目につく惨めなたたずまいだった。
 大坂には縁戚友人もなく、たまたま出雲大社を知っている知人に会うと、つい涙ぐんだりしたものである。
 そんな大阪に住み着いてはや半世紀が過ぎた。波乱の多かった人生だったが、古希を迎えた現在も東奔西走。現役で働けるのも、海や山で鍛えた体力の賜物と感謝しながら走り続けた。 胸突き八丁のゴール間近、右前方に弥山を眺めながらの完走となった。声援してくれた人々や給水係の人達の懸命な姿が目に浮かび、今でも胸が熱くなる。

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