第27号 元大社町長 田中 和彦
『桜井市と出雲』

《「大和の国」のど真ん中》
 明日香村や橿原市などに比べて、意外と市名が知られていない「桜井市」。「三輪素麺」なら知っているという方。「大神(おおみわ)神社」、「纏向(まきむく)神社」に「箸墓(はしはか)古墳」・・・卑弥呼の墓だと推定されたり、 邪馬台国の中心地として取り上げられるほど、まさに「大和の国のど真ん中」シティです。(出雲大社の平成大遷宮の折、NHKスペシャルや「世界ふしぎ発見」などのビッグ番組で盛んに取り上げられました)
「出雲村」伝踊の看板写真 《出雲と大和を結ぶもの》
 奈良県桜井市と島根県大社町が友好交流都市の提携したのが、平成元年10月2日。(古川百三郎町長時代であり、その後新出雲市の誕生に伴い、平成17年11月7日提携の再調印を行っています。) 「万葉のふるさと」桜井市と「神話のふるさと」出雲市ということですが、実は出雲大社と大神神社はご祭神が同じ。(大神神社のご祭神は、オオクヌシの大神の別神といわれる「大物主神(おおものぬしのかみ)」です。) 桜井市には「出雲」という地名もあり(「出雲人形」という工芸品もあります)、野見宿祢と当麻蹴速(たいまのけはや)の相撲のつながりもあります。 旧大社町時代には、同じくご祭神つながりの琴平町をくわえた「三麺交流」(三輪素麺・讃岐うどん・出雲そば)なるものも行っていました。
奈良交通出雲バス停の写真 《「()しき御業(みわざ)」がとりもつ不思議なご縁》
 昨今、出雲が何かと注目され話題となりましたが、昨年は歌謡曲にも取り上げられました。ご当地ソング歌手と呼ばれる水森かおりさんの「島根恋旅」は有線放送大賞に選ばれました。 そして、今年の勝負曲は「大和路の恋」だそうです。出雲から大和へ。実は1番から3番までその歌詞の舞台は「桜井市」です。(「三輪山」「桜井の里」「大神鳥居」・・・)
 出雲大社を詠まれた美智子皇后は、出雲大神の偉業を讃えられて「奇しき御業」と表現されています。(「国譲りましし大神の奇しき御業を偲びて止まず」)−まさに出雲国大社町と大和国桜井市は、「奇しき御業」がとりもつ不思議なご縁なのかもしれません。

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