上田 弘 (顧問 市場出身)
出雲と大和の神様

 大社町を離れて奈良県に住んで、いくらか経ってから桜井市にある大和一宮と言われる大神神社(大三輪神社)にお詣りした。うっ蒼たる森の境内を通って拝殿に着いた。このお宮の本殿は無く、ご神体は三輪山である。
 拝殿の昇り口に「幸魂奇魂守給幸給」と唱えて下さいと書いてある。出雲大社と一緒だ。
 此処の神様は大国主命の「和魂」である大物主命だから当然の事かと思った。
 古代の「延喜式」の「出雲国造神賀詞」によると大物主命は三輪山に座し御子神達も飛鳥京の周囲に坐さしめ「天皇の長寿を祈る」と朝廷への屈服を誓う祝詞を乗せている。
 この話は出雲系の神々はもと大和に居て古代王権によって出雲へ追放されたのだ、とする説をあげる学者も居る。出雲は都の西北にあたるからか。(古代西北は災厄の来る方向とされた) 大和にはこの外、出雲系の神社は多いという。古代のロマンを出雲と大和の神達に感じている。

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