ふるさと大社町の吉兆歌(船歌)祝い唄を掲載したサイトです。神前で歌うときは「神謡」といい、楽器抜きで声高らかに歌う謡で、いわばコトタマツケの儀礼歌である。
神 話 の 出 雲 国・大 社 町

明治・大正年間、歌われた俗謡・童謡
杵築の俗謡
(1)べちゃべちゃ あんこは どこかいな
   玄光院ゲンコイ 横町 客ノ町 ついでに新町いれてやれ
(註・下水の排水溝のなかった当時は、これらの低湿地のところは雨期等には出水のため苦しみ、道路はぬかるみとなった。)
(2)小土地 赤塚 赤藷アカエモどころ 雪隠センチ オナガジ 赤手拭アカテノゴ
   仮ノ宮のなんぞごせ エモごせ 蕪カブごせ 大根ダイコごせ
   それの返礼品ツケゴメぶりのワタ
(註・明治初年、冬期不漁が続くと、貯えのない、これらの海浜部の漁民の中には、夜、顔をかくし、食を乞うて家毎の戸口に立ったと言われる。) その生活のありさまが印象的に表現されている。赤手拭は丹波神林地方の私娼の方言、杵築でも同意か?)
(3)赤塚 三韓 わしやすかん 小土地の阿蛇じゃが
   物を言い 大土地 茣蓙ゴザ舞い 転婆テンバげな
(註・大土地神楽の茣蓙舞いは女の子が舞う)
(4)市場の米屋がいうことにや ぼぼして子をとれ
   米かましよ 米ではなかった麦だった
(註・ぼぼは性交の隠語)
(5)いつもじゃらじゃら越峠コエドのおさだ
   おさだやすめの ただぼぼだ
(註・明治30年頃、越峠におさだという名物女がいた。主な仕事をほったらかし、 他のことに熱中していることを「おさだ歌っている」といい、今も日常使われている)
(6)米が十銭すりゃ こりゃりゃのや 唐米九銭で のうお千代さん
   働らかなきゃ食えんと かかあがいうた
(註・明治30年頃のはやり唄・生活のきびしさがにじんでいる)
(7)お夏何しやら 菜の虫えっちょる
   お夏何しやら 菜の虫えっちょる
   お夏何しやら 鬼の豆えっちょる
(註・杵築、手銭(白三郎)家に伝わる節分の豆煎りの際の呪い言葉。女中が台所で鬼豆を煎っているとき、 下男が頬かむりして戸口を少し開いて、「お夏何しやら」と問いかけ、下女が「菜の虫えっちょる」といいかえす。 三回目の同じ問いに下女が「鬼の豆えっちょる」というと、鬼に扮した下男が戸口から逃げる動作をして行事を終わる)
荒木地区の俗謡
(1)弥山やまから 飴町見れば だんご切売り 掛け行灯アンド
(註・飴町は原町の俗名。だんごは私娼の隠語。原町は当時色町としての一面をもっていた。)
(2)亥の子さんの晩ね 祝わのものは 蛇おに 子おに 荒神ばしよば のなかのこ
   長之助が 銭箱に 銭が三文 入っちょって ちんからからから 鳴らかいた
(註・これは荒木原町に大正時代まで伝えられていた。)
日御碕の神楽の文句
 宇龍権現 御崎は法華経 杵築きなづき きな大明神
(註・江戸時代から明治時代にかけて伝承されていた。)
大社地方の俗謡・童謡
<俗謡>
(1)猪目イノメ女房に サギ男 唐川鬼唇イグチ鵜峠ウドがんけ
   宇竜のぼたもち 御碕のだらじ 中山猿に杵築犬
<童謡>
(1)ばんないさん ばんないさん 塩辛ショウカラしいて茶飲め
(註・正月の番内に対する子供のはやし言葉の謡。)
(2)札打つつあん めんめがっしやい めんめがなけらにや ぜんぜがっしゃい
(註・出雲巡礼に対する子供のかけ言葉の謡。)
(3)お忌さんらや まだごんごが煮えんがない
(註・お忌さんは仮ノ宮の上の宮社。ごんごはお粥。寒い神有月にあついおかゆで腹ごしらえして お忌さんまいりをしたわびしい神都の風俗がしのばれる。)
(4)駄ちん馬が屁こえた
   なんぼこえた トウこえた トウの山へきっこえて
   松が三本 こおろんで すけかって おつこいた
(5)さざえ殻に火をつけて 隠岐の国へ追いはたせ
(註・当時さびしかった中村の岡ノの坂のサイ狐に向かって歌った謡。)