好きになった人 (出雲弁保存会副会長 小林忠夫作)
1.さいなら さいなら まめでおってね
すいちょう二人は えつでも逢える
たとえ別れて 暮れえちょっても
嫁ごさんなんかにゃ えかせんでね
待って 待って
待っちょういーのに ふとりおーずね
さいなら さいなら 好きになったふと
2.さいなら さいなら 指切りしてね
ふつごな約束 忘れはせんじね
恋をしたのも ほえたのも
そげね おまはんと このおらと
好いちょう 好いちょう
好いちょうますがね ほれちょうましじ
さいなら さいなら 好きになったふと
3.さいなら さいなら ほえたらえけんじね
えたし気持ちは おまはんも同じ
ふとーで待っちょう あだんちに
幸せ持って 来てごしない
こばやに こばやに
こばやにもどって 笑って見せて
さいなら さいなら 好きになったふと
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孫 (出雲弁保存会副会長 小林忠夫作)
1.なしてこのごとくに ほんそごだらか
孫と言う名の 宝もの
おじじ おまんに 似とうじね
ふと言われたらちーなら おれしんなって
下がる目じりが 下がる目じりが えびす顔
2.もみじみたいな こめこめ手でも
えまにとらまえーよ 幸せを
仕事ばっかしで 何だいせんだった
親が役割 かわーの孫に
今はもどいて 今はもどいて おーとこだじね
3.つよく育てよ おお空泳ぐ
五月節句の 鯉のように
親の背よりも がいになって
一人立ちする 二十歳が来たら
祝い言葉を 祝い言葉を かけちゃらこい
4.春になったちーなら 飾ってあげーじね
桃の節句の ふなかざり
えーにょうばん子に 育ってきたが
嫁ごになー日がきた そぎゃんときは
祝い言葉を 祝い言葉を かけちゃらこい
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岸壁の母(大社町、Kさん作)
1.オカカは来だじぃネ 今日もまた
この岸壁に 今日もきたじネ
とどかん願いと わかちょうだども
もしやひょっとして もしやひょうとして
そぎゃん気がしてネ
2.呼んでごしなはーい おがむけんね
あーオカカ よう来たねと
海山千里と いうだども
なんが遠いもんか なんが遠いもんか
オカカとせがれには
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プレイバックU (出雲弁保存会副会長 小林忠夫作)
1.緑の中を 走り抜けてく 真っ赤なポルシェ
ふとり旅なの あだんち 気ままにハンドル切るの
交差点では 隣の車が ミラーこすったと
がしなっちょうけん
あだんちも ついつい大声になる
だらにしなはんなや お前さんやつの せいじだじね
ちょっと 待ってごしなし
プレイバック プレイバック
えんまかたの言葉
プレイバック プレイバック
だらずにしんはんなや お前さんやつの せいじだね
これは いんべの あだんちのセリフ
気分しだいで 抱くだけ抱いて
おなごはえつも待っちょるなんて
こなしやつ いったい何を
教えてもらって 来なはったかね
あだんちだって あだんちだって くたびれーじね
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雪国 (出雲弁保存会副会長 小林忠夫作)
1.好きよおまはん えまでもえまでも
暦はもうちょんぼしで 今年もおわーじね
逢いたくて 恋して ほえたなばん
そばにおって ちょんぼしでも 話を聞いて
ぼいちゃげて ぼいちゃげて
ぼいちゃげて 雪国
2.窓におちー 風とゆきは
おなごふとりの部屋には 悲しすぎーじね おまはん
酔いたくて ほえたく 震えーくつびる
そばに来て ちょんぼしでも わがまま聞いて
ぼいちゃげて ぼいちゃげて
ぼいちゃげて 雪国
3.好いちょうしは おーかね おまはん
だらじね だらじな おなごね
きこはっちょった あだんち
逢意立て夜汽車に乗ー
じじらに ほほつたう なんだのあとを
ぼいちゃげて ぼいちゃげて
ぼいちゃげて 雪国
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お久ぶりね (出雲弁保存会副会長 小林忠夫作)
1.ふさかぶーだね おまはんに会うなんて
あーから何年 たったらだーか
ちょんぼし あだんちも おしぇになったでしょう
おまはんは えーし できたかーね
お茶だけのつもーが 時のたつのもわすれさせ
別れがおかしげになーやで なんだかおぞい
ほんなら さいなら まめーでと
冷たく せごを向けたけど
今でも ほんとは好いちょうと つぶやいてみる
もう一度 もう一度 おまれ変わって
もう一度 もう一度 めぐり逢いじねー
2.ふさかたぶーだね こげな真夜中に
おまはんから電話 ごしなーなんて
へんちょげなくらい まじめな声で
あだんちに迫るから 眠気もさめた
もしも えまでもふとーなら 映画みたいな恋をして
愛を育ててみたいねと 笑ってみせる
ほんなら さいなら これきりと
冷たく受話器を置いたけど
涙が じじらにあふれ出す どげしちょうね
もう一度 もう一度 おまれ変わって
もう一度 もう一度 めぐり逢いたいじね
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